トップ 生きる人々 組織と主役 曳行MAP だんじりを造る 二十町だんじり自慢

 
 だんじりは新調すると一台一億円になる。その原材料は殆どケヤキのみ。貴金属を多く用いてるわけではない。確かに精密な彫り物や造作には目を見張るものがあるし、芸術品と言ってもいいかもしれない。けれど、そんな高価で豪華な代物を曳き、走り回る。はては直進しかできない構造のものを目一杯のスピードで直角に曲げる。タイミングが狂えば、電柱や民家に激突するし、転倒もする。とても尋常な行いではない。構造上無理がある曲げ方をするのだから、そこにはテクニックが要求される。曲がり角に差しかかると綱元が曳き綱を押し込み、大工方が合図を送り、後梃子が渾身の力を加え、前梃子が内側のコマに梃子を入れる。

太鼓が変わる、大工方が跳ぶ、綱元が入る、前梃子が入る、後梃子が取る。走る。しびれる一瞬だ。駅前商店街をやり回す宮本町
鳴物のリズムに合わせて、綱中・綱元・追い役・後子の掛け声が揃う。何にも替え難い祭りそのものの瞬間だ。沼町
 
 そのタイミングが決まったときにだんじりは綺麗なカーブを描いて曲がる。これをやり回しと言う。けれどそのやり回しがどんなに巧く決まっても、他の町と競い合うわけではないし、審査員がいて点数をつけるわけでもない。つまり、自己満足にしか過ぎない。そんな祭りに大人も子供も興奮し、熱狂する。冷静に考えれば、こんなに不思議なことはない。不思議だけど再来年には元禄時代から数えてちょうど300周年を迎える。「何がおもしろいのか」、「何が岸和田の人をここまで熱狂させるのか」。
 
 ご自分の目で確かめてください。と言うしかないのかもしれない。ただ一つだけ言えることは、花形ポジションとされる大工方、前梃子のために、みんなは祭りに参加しているのではない。子供に混じって綱の先頭を曳く若い青年団員も、小旗を振って行き先を示す世話人のおっちゃんも、みんながみんな、自分たちの町が安全でスムーズに、そしてどこよりも速く、勇ましく曳行できるために頑張ってる。それぞれが与えられた役目に一生懸命になって、初めてやり回しも成功する。だんじりの豪快華麗さを堪能する、大工方の舞いや綱元、前梃子の険しい表情に見とれるのもいいけれど、ちょっと気分が緩んだとき、そんな人達の表情を眺めてほしい。みんなすごく真剣で、とてつもなく楽しく、明るい笑顔を見せてくれるはずですから。
 
 増田忠信さん
毎年祭り当日はたくさんの見物客がお越しになりますので、誘導を行います。安全には気をつけて祭りを楽しんでほしいですね。 (岸和田駅駅員)


※この情報は2001.9現在のものです。現在の情報につきましてはお電話等で直接お確かめ下さい。